ChatGPTやClaudeなどのAIを使っていると、「MCP」という言葉を目にする機会が増えてきました。
MCPを使うと、AIに質問して回答を得るだけでなく、Webサイトやファイル、データベースなどの外部サービスと連携し、実際の作業を進められるようになります。
では、MCPとは具体的にどのような仕組みなのでしょうか。また、APIとは何が違うのでしょうか。
この記事では、MCPの基本的な仕組みからAPIとの違い、Web制作での活用例まで、初心者にもわかりやすく解説します。
MCPとは?
MCPとは、Model Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル) の略です。
簡単にいうと、AIと外部のツールやサービスをつなぐための共通ルールです。
たとえば、AIに次のような作業を依頼したいとします。
- パソコン内のファイルを読み込んで、内容を修正する
- データベースから必要な情報を取得する
- Webサイトの記事を確認して、修正する
- 開発ツールを使って、プログラムのエラーを調査する
AIが文章を作るだけであれば、通常のチャットでも対応できます。しかし、実際のファイルやWebサイトを操作するには、外部のシステムと連携する仕組みが必要です。
そこで役立つのがMCPです。
MCPに対応したAIアプリと外部サービスを接続することで、AIが利用できる情報や機能を共通の方法で扱えるようになります。
MCPは共通の接続ルール
MCPのイメージは、USB-Cのような共通規格です。
USB-Cに対応した機器であれば、共通の接続方式を利用できます。同じように、MCPに対応したAIアプリとサービスであれば、共通のルールに沿って連携できます。
もちろん、USB-Cと同じように何でも自動的につながるわけではありません。接続するサービス側にもMCPに対応した仕組みが必要で、実際に利用できる機能はサービスによって異なります。
MCPは、AIごと、サービスごとに異なる連携方法を用意する手間を減らし、AIと外部サービスをつなぎやすくするための仕組みなのです。
MCPで何ができるのか?
MCPを利用すると、AIが外部の情報を取得したり、対応するツールを使って処理を実行したりできるようになります。
具体的な活用例を見てみましょう。
1. ファイルの読み込みや編集
AIにパソコン内のファイルを読み込ませ、内容を確認したり、コードを修正させたりできます。
たとえば、プログラムのファイルを確認してエラーの原因を調べ、必要な修正を提案してもらうといった使い方です。
ファイルへの書き込み機能も提供されていれば、AIが直接ファイルを編集することも可能です。
2. データベースの情報を取得する
データベースと連携すれば、必要な情報を検索したり、取得したデータを分析したりできます。
たとえば、売上データを調べて、売上が減少した原因を分析するような作業です。
ただし、AIが参照・変更できるデータは、接続先が提供する機能やアクセス権限によって制限されます。
3. 開発ツールを利用する
プログラムの開発では、コードの確認、修正、テストなどにAIを活用できます。
必要な開発ツールと連携できれば、AIがエラーを調査し、コードを修正して、テスト結果を確認するといった一連の作業を進められます。
4. Webサイトを操作する
WordPressなどのWebサイトと連携すれば、対応する機能を通じて記事やページの情報を取得したり、内容を更新したりできます。
たとえば、既存の記事を確認して修正箇所を見つけ、変更を加えたあとに結果を確認するといった使い方が考えられます。
ただし、すべてのMCPサーバーがWebサイトの編集に対応しているわけではありません。どのような操作が可能かは、接続先の仕様によって変わります。
MCPの仕組みを理解する3つの役割
MCPの仕組みを理解するには、「ホスト」「クライアント」「サーバー」という3つの役割を知っておくと便利です。
MCPホスト(Host)
AIを利用するアプリ全体を指します。
たとえば、MCPに対応したClaude Desktopや開発支援アプリなどが該当します。
MCPクライアント(Client)
ホストの内部で、MCPサーバーとの接続や通信を担当する部分です。
AIが外部の機能を利用する際に、MCPのルールに従ってサーバーと情報をやり取りします。
MCPサーバー(Server)
AIが利用できる情報や機能を提供するプログラムです。
パソコン内で動くものもあれば、インターネット上のサーバーで動くものもあります。
たとえば、WordPress用のMCPサーバーが記事の取得や更新機能を提供していれば、AIアプリからその機能を利用できるようになります。
実際の処理では、MCPサーバーがWordPressのAPIなどを呼び出している場合もあります。
つまり、MCPサーバーはAIと外部サービスの間をつなぐ役割を担っているのです。
MCPサーバーが提供する3つの機能
MCPサーバーが提供する機能は、大きく3種類に分けられます。
| 機能 | 役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| Tools(ツール) | 処理を実行する | 記事の更新、データの検索 |
| Resources(リソース) | 情報を提供する | ファイルや資料の内容を取得する |
| Prompts(プロンプト) | 指示のひな型を提供する | コードレビュー用の定型指示 |
たとえば、Web制作向けのMCPサーバーが、ページの情報を取得する機能とページを更新する機能を提供しているとします。
AIはページの現状を確認し、必要な修正を行い、結果を確認するという作業を進められます。
ただし、すべてのMCPサーバーが3種類すべての機能を提供するわけではありません。
MCPとは?APIとどこが違う?
ここで気になるのが、APIとの違いです。
APIもMCPも、システム同士を連携させるために使われます。しかし、両者は役割が異なります。
APIはシステムの機能を外部から利用するための窓口、MCPはAIが外部の情報や機能を共通の方法で利用するための規格と考えるとわかりやすいでしょう。
APIをレストランに例えると
APIは、レストランの注文窓口のようなものです。
注文するには、メニューや注文方法を理解し、必要な情報を正しい形式で伝える必要があります。
APIも同じで、利用する側はAPIの仕様を理解し、必要な情報を適切な形式で送信しなければなりません。
たとえば、WordPressの記事を更新する場合、WordPress REST APIの仕様に従って、適切な認証情報や記事データを送信します。
MCPをレストランに例えると
MCPは、AIが注文窓口を利用するための共通ルールに近いものです。
AIは、MCPサーバーがどのような機能を提供しているかを確認し、目的に合った機能を選んで利用できます。
そのため、APIの仕様を人が一つひとつ確認してプログラムを組む代わりに、AIに自然な言葉で指示し、対応する機能を使わせる仕組みを作りやすくなります。
なお、MCP自体が注文や処理を実行するわけではありません。MCPサーバーがAPIなどを利用して、実際の処理を行う場合もあります。
APIとMCPの違いを比較
| 比較項目 | API | MCP |
|---|---|---|
| 主な役割 | システムの機能を公開する | AIと外部の機能・情報をつなぐ共通規格 |
| 利用する側 | Webサイト、アプリ、プログラムなど | MCPに対応したAIアプリなど |
| 接続方法 | APIごとの仕様に従う | MCPの共通仕様に従う |
| 主な用途 | データの取得、登録、更新、削除など | ツールの実行、情報の提供、指示のひな型など |
| AI専用か | いいえ | AIとの連携を主な目的としている |
| 互換性 | APIごとに仕様が異なる | 対応する仕組み同士で連携しやすい |
MCPはAPIを置き換えるものではありません。MCPサーバーが内部でAPIを利用する構成も一般的です。
WordPressを例に考える
WordPressの記事をAIから更新する場合、2つの方法を考えてみましょう。
APIを直接利用する場合
プログラムからWordPress REST APIにアクセスし、記事の内容を取得したり、更新したりします。
APIの仕様や認証方法を理解し、必要なリクエストを組み立てる必要があります。
MCPを介して利用する場合
AIに「この記事の内容を修正して」と指示します。
MCPサーバーが記事の取得や更新機能を提供していれば、AIは必要な機能を選んで利用できます。サーバー側では、WordPress REST APIなどを使って処理を実行することもあります。
このように、MCPを利用すると、AIが実際の制作環境の情報を参照し、対応する機能を使って作業を進めやすくなります。
MCPはAPIより優れているのか?
MCPとAPIは、どちらか一方が優れているというものではありません。目的に応じて使い分けます。
APIが向いているケース
- 決められた処理をプログラムから確実に実行したい
- 大量のデータを定型的に処理したい
- システム同士の連携を細かく制御したい
MCPが向いているケース
- AIに状況を判断させて、利用する機能を選ばせたい
- 複数のツールを組み合わせて作業を進めたい
- 自然言語の指示から、外部サービスの機能を利用したい
MCPとAPIを組み合わせるケース
実際には、MCPとAPIを組み合わせる構成もあります。
たとえば、MCPサーバーがWordPress REST APIを利用して記事を更新し、AIがその機能を使って作業を進める構成です。
APIが実際の処理を担い、MCPがAIから利用しやすい形で機能を提供するという役割分担です。
MCPがあればAIは何でもできるのか?
MCPは便利な仕組みですが、接続すれば何でもできるようになるわけではありません。
まず、接続先のサービスが必要な機能を提供していなければ、その操作はできません。また、AIが正しい判断をすることや、必ず期待どおりの結果になることも保証されません。
特に注意したいのが、アクセス権限と安全性です。
記事の更新だけでなく、ファイルの削除やサイトの公開などが可能な場合は、誤操作による影響も考えられます。
そのため、必要最小限の権限を設定し、重要な変更は事前に確認する、バックアップを用意するなどの対策が大切です。
MCPはAIの能力を無制限に広げる技術ではなく、AIが外部の情報や機能を利用するための仕組みだと理解しておきましょう。
Web制作におけるMCPのメリット
WordPressやElementor、Bricksなどを使ってWebサイトを制作する場合、MCPを活用することで制作の進め方が変わる可能性があります。
通常、AIにCSSを書いてもらった場合は、そのコードをコピーしてサイトに反映し、表示を確認する必要があります。
一方、対応するMCP機能を使って制作環境と連携できれば、AIがページの情報を取得し、修正を行い、結果を確認するという作業を進められる場合があります。
たとえば、次のような流れです。
- AIに修正したい内容を指示する
- AIが現在のページや関連情報を確認する
- 対応する機能を利用して修正する
- 修正結果を確認する
- 問題があれば、追加の指示で調整する
このように、AIが実際の制作環境にアクセスできることは、大きなメリットです。
ただし、MCPそのものがデザインの品質を高めるわけではありません。AIの判断力や指示の内容、接続先の機能などによって、結果は変わります。
重要なのは、一度の指示で完成させることだけを目指すのではなく、実際の環境で結果を確認しながら修正を繰り返せる仕組みを整えることです。
まとめ:MCPはAIと外部サービスをつなぐ共通規格
MCPとは、AIが外部の情報や機能を共通の方法で利用するための規格です。
APIがシステムの機能を外部から利用するための窓口であるのに対し、MCPはAIがそのような機能を利用しやすくするための共通ルールです。
MCPを活用すれば、AIに質問して回答を得るだけでなく、対応する外部サービスと連携し、情報の取得や実際の作業まで進められるようになります。
特にWeb制作やプログラム開発では、AIが実際の制作環境を確認し、修正と検証を繰り返せることが大きなメリットになります。
MCPはAPIに取って代わるものではありません。APIなどの外部機能をAIの作業に組み込みやすくする技術です。
今後、AIを単なる相談相手としてだけでなく、実際の作業を進めるパートナーとして活用したい場合、MCPの仕組みを理解しておくと役立つでしょう。

エクスペクト合同会社 代表社員 | Elementor Expert |
アパレル商社、証券会社、IT関連・広告関連企業の役員を経て2017年に独立。これまで1,000サイト以上に携わる。
TOFUラボ主催 第3回マジワン『コード書かないウェブサイトコンテスト』優勝。